偉大なミュージシャンやお笑い芸人、スポーツ選手…
多くの方がそれを始めたきっかけを「モテたかったから」と言っています。

冗談の場合もあるでしょうが、多くの方の本音であることは間違いないと思います。
健全で正直で、いいですよね。
ただ、入門当初からそれを公言する人はあまりいません。

しかし、私の生徒さんには一人いらっしゃいます。
体験レッスンの際に
「モテたいんです！」
と堂々宣言した方が。
ちなみに30代半ば独身、営業マンの男性です。

「なるほど。これは期待できますね！」
「と、おっしゃいますと？」
「モテたいのは人間の本能ですから、一番強い動機です。
きっとものすごく熱心に勉強なさることでしょう！
宿題もいっぱいご用意しますね！！
楽しみにしています！！！」

こうして始まったレッスンですが、彼は今、英語で新聞を読んでいます。
初回授業では自己紹介もできなかったのが嘘のようです。
「よく中学英語で止まってる、っていう人いますよね。
私の場合は中学英語もまるで分りません。」
とおっしゃった通り、be動詞と一般動詞、３単現などもあやふやでした。
英文の構造の基本から叩き込み、分詞や関係代名詞では何度も挫折しそうになりながらも粘って粘って３年目です。

何度も壁はあったそうですが（見ていてももちろん解ります）、一番高い壁を超えた時は英語だけではなく、すべての物事に対する思考の仕方が変わったとおっしゃいます。
仕事もより効率的になったそうですから不思議ですね。
確かに私は英語そのものよりも「なぜそうなるのか」という仕組みのほうを重視した授業を行います。
でもその回路を仕事に適応させたのは当然彼の力です。

また彼は「つまらないプライドから解放された」ともおっしゃいます。
「何千回間違えたか分からないけど、最初は間違えるのが恥ずかしかった。
でも今は、そんなくだらないことを気にして一歩を踏み出さないほうが恥ずかしいと思える。」
確かにそうですよね。
間違うこと、失敗をすることなしに何かを習得した人間はいません。
でも、その境地に辿り着いたことが何より素晴らしいと思います。

きっかけなんてなんだってどうだっていい！
始めたことと、継続した努力にこそ価値がある！

彼を見ていると、つくづくそう思います。

その生徒さんにはよく「先生変わってるから」と言われるのですが、彼こそなかなかどうして、個性がこんなに光る方も珍しいというほどピッカピカに輝いています。
そして仰天ネタや爆笑ネタをこれでもか！というほど提供してくださるので、これからも彼のお話は沢山出てくると思います。
“Bird君”としてぜひお見知りおきを！